テーマ10 部下の話の聴き方、相づちの打ち方
日頃の部下指導の中で、実践的な重要事項としては、次の5項目が上げられます。
「教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方」
これらの項目に関する知識は、上司として部下に対する基本マナーともいえます。
新入社員研修のときに、おじぎの仕方や名刺交換の仕方、言葉使い等を勉強しますが、
新入社員の人たちには、これは、「相手に最高に生産性の高い仕事をしてもらうための
社会人としてのマナーです。」と伝えております。
教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方も「部下に最高に生産性の高い仕事をして
もらうための上司としてのマナー」となります。
上司として部下とコミュニケーションをとるための基本型として
身につけておくべき事項といえます。
仕事の教え方、任せ方を考えるときに、よく参考に使われるのが、山本 五十六の名言です。
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山本五十六(やまもと いそろく)名言
山本 五十六
1884年04月04日 - 1943年04月18日
日本海軍の軍人。26、27代連合艦隊司令長官。
・やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。
・話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
・やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
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今回は、上記の名言を踏まえて仕事の教え方、任せ方について解説致します。
■話の聴き方
部下の話を聴くときの留意点は、以下のようになります。
1.部下の話を聴くためのトータルの時間数を想定し、あらかじめ確保しておく
・部下の話は、上司としては、部下から言われなくてもすでに分かっていることも多くあり、
たくさんの仕事を抱えている中で、部下の話を聴くのは、精神的にも
大変な面があります。しかし、上司になった以上、どんなに忙しくとも
部下のために時間を使う覚悟が必要です。
特に、部下の話をきちんと聴くことに時間を使うことが重要です。
部下は、上司がきちんと話を聴いてくれると上司は、自分のことを理解してくれている、
認めてくれていると思います。
・聴くという字は、「十四の心で耳を傾ける」と書きます。
部下とコミュニケーションをとるときの基本は、まず、心をこめて部下の話を最後まで聴くことです。
2.声を掛けやすい雰囲気づくりを心掛ける
・忙しそうに、イライラしながら仕事をしている上司には、声を掛けづらいものです。
部下から見られていることを常に意識して、平常心で仕事に取組むことが必要です。
3.話の要点を整理しながら聴く
・部下によっては、話下手な部下もいます。また上司の前では、萎縮したり、緊張して、
よけいに上手く話ができなくなる部下もいます。
部下の話を整理し、要点をとらえて、その内容を確認しながら話を聴いてあげると、
部下も落ち着いて話をするようになります。
■相づちの仕方
相づちは、話を上手に聴くための基本的なテクニックとなります。
相づちを効果的に使用することで、部下とのコミュニケーションを
より円滑に行えるようになります。
下記にご紹介する相づちを実際に試してみると、部下は熱心に話をして
くれるようになります。
上司として部下からの信頼も深まります。
1.話しをしやすくするための相づち
・「なるほど」、「そうなんだ」、「それで」などの相づちを、声のトーンに気を使い、
タイミング良く使用すると、部下は、話を続けやすくなります。
・相づちと合わせて、うなずきをすることで、部下は、
よく聴いてもらっているということを強く意識します。
2.話をよく聴いている、理解していることを表現する相づち
・部下の話した言葉をおうむ返しに繰り返してあげるだけで、
部下は、「聴いてくれている」という実感を強く持ちます。
また、自分の話した言葉を上司に言い換えてもらうと、
部下は、「聴いてくれている」に加えて、「上司は自分の話を本当に理解してくれている」
という安心感を持ちます。
3.感情を表現する相づち
・「大変だな」、「よかったな」という共感を表現する相づちは、
人間味が伝わるとともに、部下の気持ちを代弁しているという意味合いにもなり、
部下との心理的距離が縮まり、上司への信頼感を高めます。
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